昭和51年3月、宮城県教育委員会は、名取市に新築移転することになった宮城県農業高校の跡地に、昭和52年度普通高校を新設することを決定した。この措置は、昭和52年度より仙台市内学区を二分割とすることから、仙台市南学区に普通高校の増設が要請されていることに対応したものである。
これに加え、仙台南高の設立には新設高校としての独自の使命と役割とがあった。高校生の学力や進路等が多様化する傾向にあって、当面する高校教育の諸問題にいかにアプローチするかは、まさにゼロから出発する新設高校にこそ求められ期待されるものなのである。新設高校とは単に高校進学者急増対策の一環として創られるのではなく、現代の高校教育の課題に応えるものでなければならない。個々に新しく生まれる高校としての使命と役割とがある。この理念は仙台南高の開校時からの教育方針に大きく反映され、一貫して今日まで受け継がれているのである。
開校に当たって仙台南高が示した基本方針は、当面する高校教育の問題点をふまえ、「生徒ひとりひとりの個性を開発し、その充実をめざす教育」を重視することである。そのため、教育課程では大幅な選択制の採用と多様な科目類型の設置を重視するとともに、生徒の集団・個別指導のそれぞれに全校で取り組む指導計画を打ち出した。